新しいオフィスビルが一棟できますと、ほぼ同時期に多くの企業が入居作業をするという状況になります。搬入用のエレベータの壁には段ボールや樹脂製の緩衝剤が張り巡らされ、引越し業者さんがいろんなフロアに物を運び込みます。
それが落ち着きますと、事務所開設や移転のお祝いとして胡蝶蘭の需要が急激に増します。今度は花屋が胡蝶蘭屋観葉植物を持ってエレベータに行列を作る番です。各企業様のエントランスには次々に胡蝶蘭や観葉植物が届けられ、祝賀ムードがどんどん形成されていきます。当然「当日の午前中に」というご指定がほとんどですので、裏の搬入用エレベータやバックヤードの通路、業者用の駐車場はもうすごい状態です。オフィスビルは高層な場合が多いですので、頑張って階段でのぼるなんてことはできません。ビルのオープンは長いエレベータ待ちはつきものです。別のフロアにもお届け物があっても、ついでにハシゴして行くことは難しいため、ひっきりなしに行き交うエレベータをどこかでまた捕まえるしかありません。
そんな中でも、胡蝶蘭を傷つけないように丁寧に運び、立札が曲がっていないかチェックして納品をします。そして「おめでとうございます」の言葉も忘れずにおかけしてから帰ります。
多くの企業様が一斉に新しい環境でスタートを切られます。花屋として納品は確かに大変ではありますが、新しい建物の匂いとともに活気や喜びや緊張感で満たされた空間は、身が引き締まる感じがして心地がいいです。